業務委託契約書レビューの実務 ——中小企業が見落としがちな5つの条項
■ はじめに
弁護士法人みらい総合では、顧問先企業から月平均で50通以上の業務委託契約書レビュー依頼を受けています。本記事では、その実務経験をもとに、中小企業のお客様が特に見落としがちで、かつトラブルになった際に大きな損害につながりやすい5つの条項について解説します。
■ 1. 知的財産権の帰属条項
発注側の企業が「成果物の著作権はすべて当社に帰属する」と規定しているケースは多いですが、受注側との交渉で「業務に伴って生じた汎用的なノウハウ・ライブラリ」までもが対象になっていないか、必ず確認が必要です。逆に、受注側企業の場合は、自社の標準ライブラリの再利用権を留保する条項を必ず明記すべきです。
■ 2. 契約解除条項
「相当期間を定めた催告」の有無、無催告解除の事由、解除後の損害賠償の範囲がそれぞれ整理されているかを確認します。特に、システム開発委託契約では、解除のタイミング次第で損害額が大きく変動するため、解除権の発動条件は具体的に列挙しておくことが重要です。
■ 3. 損害賠償の上限条項
下請事業者保護の観点で、受注側企業は損害賠償の上限を「契約金額」または「直近12ヶ月の支払総額」に限定する条項の挿入を検討すべきです。一方、発注側企業の場合、故意・重過失のケースを除外しておかないと、重大なシステム障害時に十分な救済を受けられないリスクがあります。
■ 4. 秘密保持義務の存続期間
「契約終了後も◯年間存続する」という条項について、年数だけでなく対象情報の範囲が明確かを確認します。M&Aや事業譲渡を視野に入れる成長企業では、相手方の関連会社まで秘密保持義務を及ぼす条項を追加すべきケースが多くあります。
■ 5. 反社会的勢力排除条項
古い雛形には記載がないことが多く、銀行融資・取引先審査の場面で問題になります。当事務所では、すべての契約書レビューで本条項の有無を必ず確認しています。
■ おわりに
上記5つの条項は、いずれも「契約締結時には大きな問題に見えないが、トラブル発生時に致命傷になりうる」ものばかりです。顧問契約を締結いただいているお客様には、これらすべての観点を含めたレビューを標準で提供しています。契約書チェックでお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。