売掛金回収の実務 ——内容証明から強制執行までの最短ルート
■ はじめに
中小企業にとって、取引先からの売掛金未回収は、即座に資金繰りに直結する深刻な問題です。本記事では、当事務所が顧問先企業向けに採用している、売掛金回収の標準フローをご紹介します。
■ ステップ1:交渉(弁護士名義の催告書)
まず最初に、弁護士名義の内容証明郵便で催告書を送付します。経験則として、債権者本人からの督促では動かなかった相手方が、弁護士名義の催告書を受け取った段階で、約60%が支払いまたは支払計画の協議に応じます。重要なのは、相手方の財務状況・取引継続意向に応じて、強硬な内容と協調的な内容を使い分けることです。
■ ステップ2:保全手続(仮差押え)
相手方の資力や財産散逸のおそれが疑われる場合、訴訟提起と並行して、または訴訟前に、不動産・預金・売掛金等に対する仮差押えを申し立てます。仮差押えが認められると、相手方は当該財産を処分できなくなり、和解交渉のテーブルに着く強い動機が生まれます。
仮差押えの申立てには「被保全権利」と「保全の必要性」の疎明が必要となり、また供託金(請求額の10〜30%程度)が求められますが、これによって回収可能性は飛躍的に高まります。
■ ステップ3:訴訟(通常訴訟・支払督促・少額訴訟)
請求金額や争点の有無に応じて、最適な手続を選択します。
・60万円以下で争いのない事案:少額訴訟(1回の期日で判決) ・争いのない事案:支払督促(書面審理のみ、迅速) ・争いのある事案、高額:通常訴訟
当事務所では、相手方の対応次第で支払督promp督促から通常訴訟への切替えなど柔軟に対応します。
■ ステップ4:強制執行
判決取得後、相手方が任意に支払わない場合は強制執行に移行します。執行対象は、預金・売掛金・不動産・動産が一般的ですが、特に効果が高いのは取引先への売掛金差押えです。第三債務者(相手方の取引先)に差押命令が送達されると、相手方の信用毀損につながるため、差押えの送達と同時に和解に応じてくる事例も多く見られます。
■ おわりに
債権回収は、初動のスピードが回収率を大きく左右します。「支払期日を1ヶ月過ぎた」段階でご相談いただければ、まだ多くの選択肢が残っています。一方、半年・1年と放置されると、相手方の資力悪化や時効の問題で回収が困難になります。
顧問契約をご利用のお客様には、未回収案件の発生時に即日対応を行っております。緊急の債権回収案件についてもお気軽にご相談ください。